花職向上委員会 メッセージ委員長からのメッセージなどを掲載していきますが、2014年以前の文章を全て破棄いたしました。ここに掲載の文章は2014年〜書かれたものです。 |
以下の文章は、2014年秋に出版する際の、委員会内でボツになった原稿です。何らかの道標にはなろうかと思い、過去の文章を全て削除し、ここにこの文章のみを表しておきます。 私が花の道を選んだ時、(1990年代初頭)花のデザインは正に文明開化を告げる、真っ只中でした。情報も新旧入り乱れ、何の情報を信じていいか解らなく、そして先輩方も「ヨーロピアン」と言われるものに、こだわりと、それを求めて研究がされ続けた時代でした。 先輩たちに教えて頂きながら、情報を整理するのがやっとの事で、その情報は日本中全体が一緒だと勘違いをしていた時期でもありました。 やがて、各地のセミナーを開催するようになると、私の情報とは異なる世界で展開するものたちとの出会いが、とても苦しめました。もちろん年齢的には先輩が多く、可能であれば新しい花や造形の研究ができる仲間を探し求めて、それなりのテーマで展開をしておりました。 しかし、それもつかの間の事、どうしても拭い去れない「基礎」の部分が大きく異なる事が判明したのです。 「基礎」とはあらゆるデザインを行う上での、根底になる考えやテクニックで、基礎さえしっかりできていれば、どのような造形にもテーマにも対応できるものと認識しています。この考えは、現在も変わりません。 そんな「基礎」をわざわざ遠方から数か月に1回、私が講師をとらなくても、という考えは常日頃から抱き、不安と焦り、そして天狗になる事への恐怖も感じました。 私は、先輩方から伝えてもらった事を整理し、伝える事をしています。もちろんかなり進化したり、整理したり、新たに異業種からの情報整理で、洗練された部分もありますが、天才で何でも自力で産み出したものではありません。 「皆さんより、ほんの少し情報量があり、伝えるだけの事で、先生にしないで欲しい。いつか私と新しい花のデザイン話で研究をする仲間になって欲しい人の、知識・技術を育てるだけの事をしているのです。」いつもそう言っておりました。 やがて気づくと、時代は大きく流れ、情報社会となってきました。花のデザインの情報もこれまで以上に色々なものが出てきましたが、しっかりと先人たちの研究結果を経ての事柄が少なく感じてしまう事が多くあります。とても残念な事だと感じていました。 私たちの「花をデザインする」方向としては、たかだ100年程度しか歴史がありません。異業種からすると、ほんの小さな動きにしか見えないかも知れません。たかが100年、されど一生涯を「花のデザイン」に捧げた人たちも多く居ます。そんな先人たちの「想い」「考え」「理論」「技術」は私たちが引き継いでいかなければならないものだと思っています。 そして、いつもこの言葉がひっかかります「神が造りし芸術(花)を扱い。。。」そうです。地球に、自然に恵まれて誕生した植物、そして私たちは花を使っているのです。自然が造った「花」をデザインするのは元々おかしい事なのか、それとも可能なのか、この葛藤は現在も相当引きずっています。けれど、明確に「花だけの理論」である事が一部は捨てがたいかも知れませんが、共通の理論や知識で物事を進めていかなければならないと感じています。 2005年、花職向上委員会として発足し、ほぼ「秘密結社」のような存在でした。それは様々な団体同様一括りにされる事懸念を感じていたからです。様々な活動をしておりますが、2014年出版を期に ようやく一部ではありますが、表に公開するかたちとなりました。 2014.4.1 花職向上委員会 委員長 磯部健司 |